阪神・淡路大震災体験記
震災から時間が流れて、もはや被災地でも震災を全く知らない世代が教壇に立つようになりました。体験の風化が避けられません。被災者の声を残していきたいと思います。
震災で変わった価値観
それまでの私は完全な仕事人間でした。育児休業中も世の中に遅れるのがいやで、勉強ばかりしていました。子どもを預けて資格試験まで受けに行っていました。
当時の私にとって、子育てはあくまで、二番、三番だったのは事実です。しかし、震災を経験し、家をなくし、子どもも亡くしかけて、やっと変わりました。優先順位は、仕事が一番には来ないということが、遅まきながらやっと理解できました。
あのとき、本当に息子が昇天してしまっていたら・・・・と思うと、ぞっとします。まず、与えられた命を大切に育てること、これが、まず、私に課せられた大きな使命ではないか。そんなあたりまえのことが見えました。
聡明な人ならこんなことくらい、試練を通らなくても理解できます。しかし、私には試練があったからこそ何が宝物なのかがわかりました。
今年で震災から26年目になります。神戸でさえ震災を知らない人が過半数を超えました。
「いつまで震災のことを言っているの」と言われようと、やはり後世に語っていく責任が生き残った被災者にはあると思っています。
読んでくださってありがとうございました