不登校(non-attendance at school)
不登校に関する論文を読むと、色々な英語が使われているのがわかります。
例えば、school refuse。直訳すれば、登校拒否ですね。あと、school phobia 、学校恐怖症でしょうか。それと、non-attendance at school は不登校。
なぜ、このようにたくさんの言葉があるかというと、1941年のJohnson,A.Mらがはじめた頃の不登校研究では、恐怖症という神経症的なメカニズムがあるから学校に行けないんだと考えられていたからです。だから、このころは、school phobia を使っていたようです。
けれど、研究がすすむにつれ、必ずしも恐怖症的なメカニズムが想定されないケ-スでも学校に行けないケ-スがあることがわかってきて、それで、non-attendance at school が多く使われるようになったというわけです。
実際今でも、不登校の子供の7割は神経症的登校拒否です。具体的にいうと、分離不安型・甘やかされ型・優等生の息切れ型などがここに入ります。
ですから school phobia という視点で彼らをサポ-トするのは、その7割の子に関しては有効です。
「不登校」となり「ひきこもり」状態にいる子供は、傷つく事やプライドをつぶされることを非常に恐れています。
ちょっとした外部の刺激(学校・会社など)ですぐにでも壊れてしまうような自己愛を持っています。この自己愛はひきこもりの状態のなかで、暖められ大切に守られており、それぞれの万能感は保たれています。
この傷つきやすいが万能という矛盾した状態を理解し、常に敏感でいなければなりません。
「不登校」や「ひきこもり」の子供は弱いのか
「不登校」や「ひきこもり」の子供は弱いのかという疑問ですが、ある意味ひきこもれるほどの強い力を持っているからひきこもれるのです。
実際つきあっていくと、思慮深い考えや苦しみを表現してくれます。
一刻も早くもとの状態に戻ってほしいという気持ちから、治療をあせりがちですが、常に「ひきこもる」能力を積極的に評価し、安心してひきこもれる環境を整える視点を持つ事が治療を進める上で非常に大切になってきます。
ひきこもる力があるなら必ず出口は見つかります。
それでも出口が見つからない場合は、むしろその「ひきこもり」の状態を必要としていると考えることはできないでしょうか。
こころの休養という意味では、ゆっくり自分の時間を過ごすことで葛藤状態に対応できるだけのエネルギ-を蓄える事も可能となります。
不登校は、学校教育相談では群を抜いて多い相談事項です。新しい情報が入り次第、更新していきますね。